ネットいじめ

インターネット社会を生きる子どもたちへ

今、私たちの社会は、インターネットなしでは成り立たない時代になりました。

一方で、子どもたちの身近なところでは、ネットいじめ、SNSをきっかけとした性被害、問題投稿、闇バイト、SNSを介した自殺など、深刻な問題が起きています。

まずは、子どもたちが生きているネット社会の現実を正しく知ることが大切です。そして、ネットの向こう側には、必ず人がいます。相手の痛みを想像し、自分の行動を振り返ることが求められています。

SNSの問題は、最終的には「心」の問題です。

スマートフォンやSNSそのものが悪いのではありません。大切なのは、それを使う私たち一人一人の「心」です。一般社団法人ピアサポート研究会では、子どもたちが人とつながり、自分で考え、よりよい行動を選択できる力を育てていきます。まずは、社会の現実を知るところからスタートしましょう。

1.ネットいじめ ―10年間で 3倍に急増

 スマートフォンやSNSの普及に伴い、ネットいじめは増加しています。 文部科学省の調査(2026)では、パソコンや携帯電話等を使ったいじめの認知件数は、2015年度の9,187件から、2024年度には27,365件へと約3倍になっています。特に小学校では、2,075件から11,890件へ大きく増加しています。

(1)見えにくく、急速に広がる

 ネットいじめは、Xの鍵アカウント、LINEのグループチャット、Instagramなど、大人から見えにくい場所で起こります。誹謗・中傷や写真・スクリーンショットの無断投稿などが、周囲の同調(同町圧力)によって短期間でエスカレートすることもあります。

(2)エスカレートすると犯罪につながることも

 なりすまし、個人情報や写真・動画の流出など、行為がエスカレートすると、犯罪や深刻な人権侵害につながる場合があります。

(3)証拠を残し、早期に対応する

 ネットいじめは、子どもの心や学校生活にも大きな影響を与えます。被害に気づいたときは、スクリーンショットなどで記録を残し、子どもだけで抱え込ませず、早期に対応することが重要です。

パソコンやケータイを使った、年度別いじめの認知件数: 文部科学省,2026

パソコンやケータイを使った、年度別いじめの認知件数: 文部科学省,2026

Stacked Column chart. 文部科学省,2026. Data table with 5 rows and 11 columns follows.

パソコンやケータイを使った、年度別いじめの認知件数
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
小学校 2,075 2,679 3,455 4,606 5,608 7,407 9,454 9,690 10,356 11,890
中学校 4,644 5,723 6,411 8,128 8,629 8,662 9,783 11,404 11,327 12,574
高校 2,365 2,239 2,587 3,387 3,437 2,598 2,454 2,564 2,724 2,627
特別支援学校 103 138 179 213 250 203 209 262 271 274

(4)高校ではネットいじめの割合が高い

 しかし、ここで注目したいのが高校生です。

 文部科学省のいじめ調査では、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」という、いわゆるネットいじめが、高校ではいじめの中で占める割合が高いことがわかります。文部科学省も、高校ではこの態様が主要ないじめの一つになっていることを指摘しています。

 2024年度では、ネットいじめがいじめ全体に占める割合は、小学校約1.9%、中学校約9.3%、高校約13.9%となっています。つまり、年齢が上がるほど、いじめの場がSNSやインターネットにも広がっていることがうかがえます。

ネットいじめ: パソコンや携帯電話で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる(文部科学省,2026)

ネットいじめ: パソコンや携帯電話で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる(文部科学省,2026)

Line chart. パソコンや携帯電話で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる(文部科学省,2026). Data table with 5 rows and 16 columns follows.

ネットいじめ
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
小学校 0.7 1.1 1.4 1.4 1.3 1.4 1.1 1.1 1.1 1.2 1.8 1.9 1.8 1.8 1.9
中学校 5.1 5.6 5.8 8.8 7.8 7.8 8 8 8.3 8.1 10.7 10 10.2 9.2 9.3
高校 14.9 14.5 14.8 19.7 18.2 18.7 17.4 17.5 19.1 18.7 19.8 17.3 16.5 15.5 13.9
特別支援学校 4.7 9.5 9.2 8.5 8.2 8.1 8.1 8.8 8 8.1 9 7.8 8.6 8.2 7.5

2. ネットへの問題投稿 ― 「悪ふざけ」が犯罪になることも

 ネットへの問題投稿が、「面白い」「いいねが欲しい」から始まります。ネットへの問題投稿は、最初から大きな事件を起こそうとして始まるとは限りません。「面白い」「友達に見せたい」「いいねが欲しい」「その場のノリ」といった承認欲求や仲間意識がきっかけになることがあります。

(1)「バカッター・バイトテロ」から「いじめ動画・生成AI」へ

 問題投稿は、飲食店などでの迷惑動画だけではありません。近年では、いじめや暴力を撮影してSNSで拡散する行為や、生成AIを使って同級生などの性的な偽画像を作成・共有する問題も起きています。問題は「悪ふざけ」から、他者の人権を深刻に侵害する行為へと広がっています。
 バカッターとは、「バカ」+「Twitter(ツイッター)」を組み合わせて作られたネットスラング(インターネット上の俗語)。

(2)「悪ふざけ」が犯罪になる

 店内での迷惑行為、いじめ動画、他人の写真や個人情報の拡散などは、単なる「悪ふざけ」では済まず、犯罪として責任を問われることがあります。 刑事責任だけでなく、多額の損害賠償を求められる場合もあります。

(3)撮影・投稿した人も責任を問われる(共同正犯)

 問題行為をした本人だけが責任を負うとは限りません。行為への関与の仕方によっては、撮影した人や投稿した人も、共同正犯などとして刑事責任や損害賠償を問われる可能性があります。

(4)投稿する前に「その先」を考える

 ネットへの投稿は、「消せば終わり」ではありません。投稿する前に「その先」を考えることです。
 自分がしたことには責任をとるという意識と、投稿する前に「誰かを傷つけないか」「犯罪にならないか」を考えることが大切です。

年事例投稿された内容結果・影響
2013バカッター
バイトテロ
コンビニアイスケース内に入った写真解雇・店舗休業・炎上
2013ピザ店ピザ生地を顔にかぶる写真従業員処分・企業謝罪
2019くら寿司魚をゴミ箱に入れて戻す動画少年ら書類送検
2023スシロー醤油差し・湯呑を舐める動画書類送検・約6,700万円の損害賠償請求
2023吉野家共有の紅しょうがを直接食べる動画2人逮捕
2023焼肉店使用済みのつまようじを容器に戻す動画逮捕・略式起訴
2023鉄道線路付近へ立ち入り撮影高校生ら書類送検
2024ピザ店食品への不衛生な行為(鼻ほじり)を撮影店舗営業停止・食材廃棄
近年いじめ動画暴力・いじめを撮影しSNSで拡散被害者への二次被害・人権侵害
近年AI偽画像同級生等の性的な偽画像を生成・共有中高生にも被害拡大・警察が対応

3. SNSによる非行・性被害

SNSに起因する事犯の校種別被害児童数の推移: (警察庁,2025)

SNSに起因する事犯の校種別被害児童数の推移: (警察庁,2025)

Line chart. (警察庁,2025). Data table with 4 rows and 12 columns follows.

SNSに起因する事犯の校種別被害児童数の推移
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025
小学校 35 43 41 55 72 84 83 114 139 136 167
中学校 627 655 676 624 847 695 718 718 748 715 758
高校 832 886 941 991 1,044 917 937 833 713 582 579

(1)SNSをきっかけに性被害に遭う子どもたち

SNSの利用が広がるなか、深刻な問題となっているのが、子どもたちの性被害です。
警察庁によると、2025年にSNSを通じて面識のない相手と知り合い、犯罪被害に遭った18歳未満の子どもは1,566人でした。小学生167人、中学生758人、高校生579人などとなっており、児童買春、児童ポルノ、不同意性交等、不同意わいせつなどの深刻な性被害が含まれています。

(2)増加する小学生の被害

 特に懸念されるのが、小学生の被害の増加です。
 小学生の被害児童は、2015年の35人から2025年には167人となり、10年間で約4.8倍に増えています。性被害の低年齢化への対応が重要な課題となっています。

(3)「スマホを持たせてから」では遅い

 ネット上の性被害を防ぐ教育は、中学生・高校生になってからでは十分ではありません。

 「知らない人と簡単につながらない」「自分の写真や動画を送らない」「困ったときには大人に相談する」ことを、小学生の段階から発達に応じて繰り返し伝え、性被害から自分を守る力を育てていくことが大切です。

4. SNSを介して起きた「座間9人殺害事件」

 このTwitterに多くの若者がツイートして殺害されました。2017年、神奈川県座間市のアパートで、15歳から26歳までの男女9人が殺害される事件が発生しました。被害者には高校生も含まれていました。
 この事件の大きな特徴は、SNS(当時のTwitter、現在のX)が被害者との接点になったことです。白石隆浩は、SNS上で自殺願望などを投稿していた若者らに接触し、言葉をかけて自宅へ誘い出していました。死刑判決が確定し、2025年6月27日に死刑が執行されました。

 
座間9人殺害事件の犯人のTwitter(現在の名称X)

(1)「優しい言葉」が安全とは限らない

 SNSでは、「話を聞くよ」「あなたの気持ちが分かる」といった言葉で、見知らぬ人とも簡単につながることができます。しかし、画面上の言葉だけでは、本当に信頼できる相手なのか判断できません。
 特に、悩みや孤独を抱えているときには、自分を理解してくれる人を求め、その言葉を信じてしまうことがあります。

(2)リアルに人と人がつながる社会へ

 この事件は、SNSの危険性だけでなく、私たちに大切なことを問いかけています。
 悩みや苦しみを抱えた子どもや若者が、友達や親、先生など身近な人に「助けて」と言える社会になっているでしょうか。
 ネットだけに居場所を求めるのではなく、家庭・学校・地域の中にも安心して話せる人がいる。リアルな人と人とのつながりの中で、「助けて」と言える社会をつくっていきたいものです。

座間9人殺人事件の概要
件数発生日被害者容疑者経緯
1件目2017年8月23日頃女性A当時21歳強盗
強制性交等殺人
死体損壊
死体遺棄罪
自宅アパートにて性的暴行を加えた上、ロープで首を絞めて殺害し現金数百円を奪った。
2件目2017年8月28日頃女子高生B当時15歳
3件目2017年8月30日頃男性C当時20歳強盗
死体損壊
死体遺棄罪
自宅アパートにてロープで首を絞めて殺害し、現金数千円を奪った。
4件目2017年9月16日頃女子大生D当時19歳強盗
強制性交等殺人
死体損壊
死体遺棄罪
自宅アパートにて性的暴行を加えた上、ロープで首を絞めて殺害し現金数百円を奪った。
5件目2017年9月24日頃女性E当時26歳
6件目2017年9月28日頃女子高生F当時17歳
7件目2017年9月30日頃女子高生G当時17歳
8件目2017年10月18日頃女性H当時25歳
9件目2017年10月23日頃女性I当時23歳

5 木村花さんの自死とSNSでの誹謗中傷

 女子プロレスラーの木村花さんは、SNS上で激しい誹謗中傷を受け、2020年5月、22歳で亡くなりました。

 SNSには「死ね」「消えろ」など、人格を否定するような言葉が繰り返し投稿されました。この出来事をきっかけに、ネット上の誹謗中傷が人の心や命に深刻な影響を与える問題として、社会的な関心が一気に高まりました。

 その後、投稿者の一部が侮辱罪で処罰されましたが、当時の侮辱罪の刑罰は非常に軽く、木村さんへの投稿をめぐる事件では科料9,000円の略式命令が出された例もありました。このことも国会で取り上げられ、ネット上の悪質な誹謗中傷に対する刑罰のあり方が議論されました。

(1)侮辱罪が厳罰化

「I子、うざい」「I子、きもい」と、SNSで何度も書いたらどうなるか?

 私は、小・中・高校生を対象とした講演では、特に公訴時効が1年から3年に延長されたことを伝えています。例えば高校3年生であれば、高校1年生のときにSNSに書き込んだ誹謗中傷についても、時期などによっては責任を問われる可能性があります。「昔の書き込みだから、もう関係ない」ではないのです。

 こうした話をすると、子どもたちはネットへの書き込みにも責任が伴うことを実感します。

 しかし、法律を教える目的は、子どもを怖がらせることではありません。「もし書いてしまった、書かれて苦しんでいる、どうしたらよいか分からないときは、一人で抱え込まず相談してほしい」と伝えることが大切です。子どもたちに法律を教えることは、子どもを加害者にも被害者にもしないための教育でもあるのです。

改正前改正後
侮辱罪拘留(30日未満)または
科料(1万円未満)
1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金または拘留・科料
公訴時効1年3年

(2)SNSで嘘を書いたらどうなる?

「I子はカンニングをした」「I子は万引きをした」

 このような嘘の情報をSNSで発信すると、名誉毀損罪に問われる可能性があります。名誉毀損罪は、人の社会的評価を低下させる具体的な事実を、公然と示した場合に成立し得ます。刑罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。「冗談だった」「すぐ消した」では済まないことがあります。

 SNSに書くということは、その言葉に責任を持つということです。

(3)ネットで被害にあったら、サイバー警察へ相談を

 SNSでの誹謗中傷、アカウントの乗っ取り、個人情報の流出など、インターネット上で被害にあった場合は、一人で悩まず、警察のサイバー犯罪相談窓口に相談しましょう。その際、投稿をすぐに消さず、スクリーンショット、URL、投稿日時、相手のアカウント名などを証拠として保存しておくことが大切です。「ネットのことだから仕方がない」と我慢する必要はありません。困ったときは、家族や先生など身近な大人にも相談してください。

6. SNSに潜む「闇バイト」の危険

(1)「闇バイト」はアルバイトではない

 SNSには、「高額」「即日即金」「簡単な仕事」「ホワイト案件」など、一見すると魅力的な求人情報が掲載されることがあります。しかし、その中には、応募すると特殊詐欺の「受け子・出し子」や、強盗、窃盗などの犯罪に加担させられるものがあります。

(2)個人情報を握られ、抜け出せなくなる

 応募すると、運転免許証などの身分証明書や家族に関する情報を送るよう求められることがあります。その後、個人情報を利用して脅され、犯罪から抜け出せなくなるケースがあります。「一度だけ」「指示されたことをするだけ」という軽い気持ちでも、強盗や詐欺などに加担すれば、犯罪の実行者として刑事責任を問われることがあります。

(3)数字から見る犯罪グループの実態

 「闇バイト」だけを切り離した全国の「発生件数」は公表されていません。一方、警察庁によると、2024年に「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」によるものとみられる主な資金獲得犯罪で検挙された人は、全国で5,203人でした。

 内訳は、詐欺2,655人(51.0%)、窃盗991人(19.0%)、薬物事犯917人(17.6%)、強盗348人(6.7%)、風営適正化法違反292人(5.6%)となっています。ただし、この5,203人すべてが「闇バイト」に応募して犯罪に加わった人という意味ではありません。匿名・流動型犯罪グループでは、SNSや求人サイトなどを通じて犯罪の実行役を募集するケースが確認されており、「闇バイト」はこうした犯罪グループが実行役を集める手段の一つとなっています。

(4)2025年、詐欺被害は3,000億円を超える規模に

 2024年の718.8億円から、わずか1年間で約2倍(98.0%増)に増加しています。大きな要因となったのが、警察官などを名乗って金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」で、被害額だけで1,005億円に上りました。「受け子」が減れば犯罪が減るわけではありません。一方、2025年に特殊詐欺の「受け子」として検挙された人は1,379人、特殊詐欺で検挙された少年は468人でした。

 特殊詐欺では、被害者の自宅などを訪問して現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」が重要な役割を担っています。「高額報酬」「簡単な仕事」「即日即金」といった言葉にひかれて応募した結果、特殊詐欺の受け子や強盗などの犯罪に加担してしまうケースがあります。

年特殊詐欺
認知件数
特殊詐欺被害額
(億)
SNS型投資詐欺
(億)
ロマンス詐欺
(億)
被害合計額
(億)
受け子
検挙人数
少年
検挙人数
202421,043718.8871.1400.91,990.81,379416
202527,8321423.11,288.0546.43,257.51,379468

(5)一般社団法人ピアサポート研究会の取り組み

 子どもや若者に必要なのは、単に「闇バイトは危険」と伝えるだけではありません。SNS上の求人情報を批判的に判断する力を育てること、困ったときに家族・学校・警察など信頼できる大人へ相談できる環境をつくることが重要です。一般社団法人ピアサポート研究会では、ネット社会の危険性だけでなく、子どもたちが情報を正しく判断し、自分自身と仲間を守る力を育てる情報モラル教育に取り組んでいます。

SNSの問題は、何の問題でしょうか。よく見て頂ければと思います。トトロではありません(笑)

主な参考・引用資料

文部科学省(2026)『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』
警察庁(2026)『令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況』
警察庁(2026)『令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』
警察庁(2025)『令和7年版 警察白書』
法務省(2022)『侮辱罪の法定刑の引上げについて』
法務省・警察庁等(各年)インターネット上の誹謗中傷・サイバー犯罪に関する資料